学部長賞受賞作品

超高齢化社会におけるロボット・AIとの共存

3班Cグループ
建築学科  二上 匠太郎
総合機械工学科 鈴木 絢芽
経営システム工学科 八木沢 海斗
社会環境工学科 吾妻 鈴子
 
今日の日本は、総人口の4人に1人が高齢者となった。 国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、この割合は今後も上昇を続け、2035年には3人に1人が高齢者になると見込まれている。そのような中、老人ホームの需要は年々増加し、2014年時点では利用者52万人に対して待機者が52万人以上だ。介護を必要とするお年寄りが多いことで、職員一人あたりの労働の負担が大きく、新たな従事者が就きにくい現状である。在宅介護においても、介護をする親族の責任は非常に重いものとなっている。この問題の解決方法の一つの案として介護ロボットの導入がある。ロボットや人工知能を利用した介護は、もうすでにSFの話でなく、一部では実用化されているのだ。 今回、この介護ロボットについて考えるにあたり、介護の現状を知ろうと2件の老人ホームにインタビューをした。2件に共通して職員の方は女性が多く、平均年齢も高めであった。そのため要介護者の移動、トイレなどでの力仕事をする場面で介護ロボットの活躍の場があるのではと考えられる。しかし、介護ロボットの導入はしておらず、今後も導入はしないとのことであった。主な理由としては金銭的な問題が挙げられた。今回のインタビューでは、老人ホームの抱える職員不足の問題が分かったことと同時に、その問題を介護ロボットで解決する選択肢もまだないという現状を知った。
しかし、そのような中現在多くの企業がこの介護ロボットの開発を進めている。現在開発中の介護ロボットには大きく分けて3つの種類がある。
① 移乗・入浴・排泄など介護業務の支援をする「介護支援型ロボット」
② 歩行・リハビリ・食事・読書など要介護者の自立支援をする「自立支援型ロボット」
③ 高齢者の方のリラクセーション・見守りをする「コミュニケーション・セキュリティ型ロボット」
先進国の中でも最も早く超高齢化社会に突入した日本は、この現状をどう乗り切るかが世界から注目されている。これから更に介護ロボットの開発が進めば、超高齢化社会における介護のあり方を提示できるだろう。
介護ロボットを現場に導入するメリットは、大きなものだ。大人の要介護者は体重があるため、抱きかかえて移動させる際に、介護者の体に負担がかかる。そういった動作を介護ロボットに委ねることで、介護者の身体的・精神的負担も軽減できるのだ。要介護者にとっても、「申し訳ない」「恥ずかしい」といった心理的負担を軽減できる点もメリットの1つだ。さらに、介護ロボットの導入によって業務効率が向上すれば、人手不足の解消や人件費の削減につながり、より働きやすい職場へ変わることだろう。
一方、介護を自動化してしまうことのデメリットもある。まず考えられることは、ロボットには故障する可能性があるということだ。故障した際に介護者が不在であると、要介護者だけで事態を収拾するのは困難である。次に、介護ロボットは高価で手に入れにくいということが考えられる。介護ロボットは数万円で買えるものもあれば、機能によっては数百万円のものもあり、購入することは困難だ。また、ロボットの無機質なイメージから、ロボットに介護をされたくないと感じる要介護者もいると考えられる。
介護ロボットが開発されても、それを使っていかなければ意味がない。介護者が介護ロボットを使うことができ、使いたいと思うようにしなければならない。そのためにも、介護ロボットの正しい知識を広く知ってもらうことが大切だ。科学の進歩が著しい今、私たちとロボット・AIは切っても切り離せない関係だ。ロボットやAIを理解することに努め、共存を目指すことがこれからの課題だと思う。

 

コメント

 
今年度のテーマは「自動化・知能化が変える社会~創造理工にできること~」であった。自動化・知能化について調べ、仲間で話し合い、創造理工の観点から社会で何ができるかを考えた。プレゼンテーションの機会を持たせていただき、人に伝える難しさを痛感したが、仲間と作り上げることで、自分では思いつかないような意見を聞くこともできた。良いプレゼンとはどのようなものかを学び、また、身をもって知ることができた。
(吾妻)
 
学部長賞を受賞できたことを本当に嬉しく思っています。プレゼンテーションを作るという経験はほとんどありませんでしたし、あまり時間も取れなかったので大変でした。このような賞を受賞できたのは、先生やTAの方々のご指導のもと4人で協力してきたからだと思います。創造理工リテラシーではプレゼンテーション演習の他にも教授へのメールの送り方や小論文等の実践的な授業が沢山ありました。今後の大学生活に活かしていきたいです。
(鈴木)
 
プレゼンの準備はスライド作成・原稿作成・資料収集で役割分担をし、必ず各仕事を二人以上が担当して確認し合うようにしました。資料収集では二件の老人ホームにインタビューを行いました。
初めての顔合わせから「本気で学部長賞を獲りにいきたい」と班員を振り回してしまったことは申し訳ないです。限られた時間の中、何度も集まって準備を一緒にしてくれて本当に感謝しています。サンキュ!
(二上)
 
この創造理工リテラシ―という授業では、他人とのコミュニケーションを積極的にとっていくことが重要であった。今回、私たちの班が学部長賞を受賞することができた要因として授業内外に関わらず多くコミュニケーションをとったことが挙げられると考えます。コミュニケーションというのは人生の中で欠くことのできないものであり死ぬまで重要になってくることです。コミュニケーション能力の基礎を、この授業で形成することができとても有意義でした。
(八木沢)

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