学部長賞受賞作品

ビッグデータの解析について

10班Gグループ
建築学科 倉品美沙
総合機械工学科 鎌田賢知
経営システム工学科 中村優仁
環境資源工学科 小林真菜
 
AIとは、人間の脳の構造、つまりシナプスという神経が相互につながることで情報処理を行うという構造をコンピュータにも真似させて、人間と同じような考え方をさせようとする技術のことだ。この技術によって「第四次産業革命」が期待されている。しかし、我々はこのテクノロジーの進歩をただ受容するだけでよいのだろうか。今回お話しするのは、我々が、どのようにAIと向き合っていくべきか、ということである。
AIは我々の生活に大きな変化をもたらす、と言われている。例えば、自動運転技術。この技術によって、人間がハンドルを握ることはなくなるだろう。また、AIが生活を管理してくれるかもしれない。事実、Amazon echo,Google home,AppleのSiriなどによって、これは現実のものとなりつつある。更に、現実に起こっている変化として、膨大な量のデータ、つまりビッグデータの活用によるものが挙げられる。私達が今回注目したのは、この変化を可能にした、AIの「ビッグデータの解析」という活用の仕方だ。
ビッグデータの解析というAIの活用法は、我々の暮らしと密接に結びついている。例えば、Amazonで買い物をしているときに、自分が欲しいと思った商品がおすすめに表示されたことはないだろうか。これはレコメンドという機能で、AIが検索履歴などによって集められたデータからユーザーのおすすめを選ぶというものだ。また、天気予報にもビッグデータは生かされている。天気予報は、人工衛星によって観測された雲の動きなどタイムリーなデータによって実現されているように見えるが、それだけでなく、過去30年分の気象データを用いて天気の変化を予測している。それに、スーパーマーケットでは、客の購入記録から、何がどれくらい売れるかを予測して在庫の仕入れを行っている。このようにAIを使うことによって、膨大な量のデータを効率的に解析し、人の行動や将来起こることなどを予測できるようになるのだ。
しかしながら、これを単に「テクノロジーの進歩」により生活が便利になった、とするのは浅薄な判断であると言わざるを得ない。欲しそうな商品をおすすめとして表示できるほど、我々の情報は収集されているということなのだ。こうしたことを意識したことがあるだろうか。アメリカではFacebookが集めた個人情報を、他の企業に不正に流していたことが問題になった。また、先日、どんなレシートでも一枚10円で買い取ってくれる「ONE」というアプリが話題となった。これらの例は、あらゆる情報に価値があることを示唆している。そして、我々の生活の至る所で、SNSの利用履歴、店舗での購買履歴、GPS情報、検索履歴、バイタルデータなどの情報もまた、収集されている。
このように、情報の有用性と収集される可能性、いわば「便利の裏側」をどれほどの人がリアルなこととして認識しているだろう。さらに言えば、AIという技術もまた、人工知能という字面だけで分かったつもりになっている人もいるはずだ。 「AI」という言葉が使われるようになるほど、AIに関する知識を持っている人とそうでない人の格差は広がっていく。それは、AIを活用した便利なシステムを享受する人々が、実はそのシステムを作っている人々に情報を抜き取られるという偏った構造を生みかねない。
繰り返しになるが、AIは有用であり、活用すべきである。しかし、我々はAI技術そのものではなく、その裏側を、ひいては社会全体を俯瞰する必要があるのではないだろうか。テクノロジーを学ぶものとして、AI技術がもたらす影響を見つめる必要がある。
 

コメント

今まで私はAIについて全く触れたことがありませんでした。ですから、グループでプレゼンテーションを作ると聞いた時は、そのような私の知らない事について、一から人に伝わるような説明がきちんとできるのだろうかと不安でした。しかし、AIについて調査を行うにつれて、そのテーマの奥深さに気づき、知識を得ることを楽しみながらプレゼン作りに励むことができました。楽しんで取り組めたことが、良いプレゼンやいい結果に結びついたのだと思います。
(倉品美沙)
 
創造理工リテラシーを通じて、AIのもたらす影響について自分なりに考えました。他学部の学生との意見交換などを通して新しい観点を得、これから発展していくと言われているAIについての理解を深められたのは、よい機会だったと感じた。AIによって仕事が奪われる、といったこともこの授業でAIについて学ぶことで、物事の偏った側面を切り取っただけだと認識できた。今後もAIについて関心を持って、「便利の裏側」まで考えて判断できるようにしたい。
(鎌田賢知)
 
この創造理工リテラシーの授業を通じて、AIの可能性や改善すべき点について詳しく考えることができた。また、メールの送り方、グループワークの仕方など、これからの大学生活に必要なことを学ぶことができて有意義な授業だった。この授業で学んだことを生かしながら、この大学でさらに学びを深めていきたいと思う。
(中村優仁)
 
私は、最初のワールドカフェという演習の場でAIについてグループディスカッションを行ったとき、自分の基礎知識の無さを痛感しました。そのため、自分の考えというものも、浅薄なものしかないように初期段階では感じていました。そこで、そのワールドカフェという演習で他の班の意見を聞きに行った時に出来るだけ多くの情報を集め、そこから自分なりの考えを持つよう努力しました。その後は、そこで得たことをグループの皆んなに伝えることを頑張りました。
(小林真菜)

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