理系でありながら部活動を続ける
効率化の先の勝利には代えがたい
達成感がある

経営システム工学専攻 修士2年
山田 航雅 Yamada Kouga
谷水研究室
2022年度インタビュー

実際の現場でも活用できるレベルのプログラムを目指して

Q 現在の研究内容について教えてください

製造業をフィールドに工場で発生した遅延に対して、最適なスケジュールを生成するプログラムの研究をしています。一般的に工場では、作業のスケジュールが事前に決められています。ですが、機械トラブルや部品が到着しないなど、さまざまな「外乱」によって、作業が遅れる場合があるのです。そこで遅延が発生したときに、その後の作業を組み替えて、一番早く終わらせる最適な順番を生成するプログラムが必要となるのです。このプログラムには、単に機械の稼働時間だけでなく、機械に部品を組み込むような作業者自身の作業時間も含んでいます。作業者と作業の選択や、作業者の負荷も考慮して、さまざまな要素の最適な組み合わせを数理最適化によって導き出しているのです。

先行研究では、作業が早い人に多くの作業を割り当てることで、全体の作業を早く終わらせようとしていました。ですがこれでは、作業者の負荷に偏りが生じてしまいます。そこで、できるだけ作業者の負荷が均等になるようにしつつ、早く作業が終わるよう、最適な順番を生成できるようにしています。また従来は、完了した過去の作業をもとに、スケジュールを生成していましたが、私の研究ではこれから着手する「未来の作業」も考慮するようにしました。このようにして、作業者の負担も考えながら、早く終わらせられる、両立できるスケジュール作成が行えるようになっています。

プログラムを活用し社会を豊かにする

Q この研究の魅力について教えてください

一見すると工場という場所は、自分たちの身近ではないものですが、自分たちの生活を支えており、密接な関わりを持っています。そうした工場で、より効率性を高めることで、製品をより早く届けられるようになります。プログラムを作ることで、実際の工場での生産工程の想定を行い、生産性を高めることができたのかを確認し、実感することができる部分が、モチベーションにつながり、実際に社会で役立つということがこの学問の魅力です。

Q 経営システム工学専攻に進んだ理由について教えてください

もともとものづくりが好きで、進学先を探していました。そうしたなかで、オープンキャンパスで、プログラムを活用することで生活が豊かになるような新しいものをつくる研究があることを知り、経営システム工学科を選びました。経営システム工学科では、プログラムなどを用いた数理最適化からパッケージデザインのような人間工学の分野まで、さまざまなことを学ぶことができ、分野が広いのが特徴です。

谷水研究室では、先生とも話しやすく、自分のペースで研究を進められるので、自分にとってはやりやすい環境でした。一方で、自律してやらないといけない部分も多いため、自分で目標立ててできる人にはいいかもしれません。

学業でもサークルでも学生時代に打ち込めるものを

Q 学業以外で打ち込んでいることはありますか

学部時代の4年間は、アメフト部に所属していました。1,2年生の頃は、朝から講義に出て、夕方部活の練習をして、帰って寝るという毎日で、このほかにも課題や筋トレをこなし、空いている時間を見つけながらやりくりしていました。そうしたなかで、チームとして大学2,3年生で全国準優勝の実績があります。理系の学部にいながら、部活を続けることは、正直つらい一面もありました。

でも、アメフト部では、文武両道を掲げており、テスト期間には勉強を優先させてもらえる環境でもありました。理系学部は、文系に比べて課題が多く忙しいのですが、それを理由に諦めたくないという思いでやってきました。そうした忙しさ、辛さを乗り越えて勝てたときの喜びは、他ではなかなか得難いものだと思います。

Q 経営システム工学専攻のどんなところを高校生におすすめしたいですか

高校生の頃から、やりたいことがはっきりしている人は少ないと思います。そうしたなかで大学生活では、なにか1つ打ち込めるものを探してみてほしいと思っています。4年間これまでとは違った自由に使える時間があるので、研究でもサークルでも、興味のあることにどんどん挑戦してほしいと思います。そうしたなかで、経営システムは幅広い領域を学べるので、どんな分野にも進めます。そうしたなかから自分のやりたいことを見つけられるので、いま明確にやりたいことがないのだとしたら、ぜひおすすめしたいです。