発電というインフラを支える、
使命感を持って

三菱重工エンジン&ターボチャージャ
山﨑 光 Yamazaki Hikaru
草鹿研究室
2021年度インタビュー

Q 早稲田中学・高等学校出身だそうですね。

早稲田の良いところは、「普通じゃない人」に寛容なところ。大学はもちろん、中高でも何かやりたいことがある人や、こだわりの強い人、よく言えば個性的、言い方を変えると少し変わった人に優しいんです。
早稲田卒の人には、伝わると思うのですが、早稲田に進学するか悩んでいる人がいたら、全員には勧めにかもしれませんが、合いそうだなと感じたら、真剣に勧めます(笑)。飾らない人が多いのも魅力だと思います。

Q 現在の業務内容を教えてください。

大型の発電用エンジンの設計を担当しています。0.5~6メガワットのクラスのガスエンジンラインアップがありますが、自分の担当はその中で最大クラスのKUエンジンというもので、地域によっては街ひとつぶん程度の発電量を担えるものです。
構造体の設計や発電の高効率化を実現しつつ、安全性の高いものを目指して、日々奮闘しています。天然ガスエンジンは二酸化炭素の排出量が少なく、環境に優しいので、社会的意義も大きい。そんな製品に関われるのはやりがいを感じますね。

担当製品のKUエンジン

入社2年目で英語の通じないセネガルへ

Q メンテナンスは担当しないのですか?

基本的にはメンテナンス対応の部署がいるのでそちらが対応しますが、関わるプロジェクトによっては、メンテナンスも含めて保守運用まで面倒をみることもあります。入社2年目から関わっている、セネガル共和国の案件ではエンジン自体の構造を改良することもありました。
発電というのは、インフラを守る仕事です。KUエンジンの場合は、数千時間連続で運転させることを想定しています。その間にトラブルが起きると、生活を止めることになりかねない。「売って終わり」ではないのが、電気でありインフラです。

Q 責任重大ですが、他に苦労したことは

セネガルの案件では、現地に入って、実際の状況を目の当たりにしながら作業したのですが、これは大変でした。公用語はフランス語で、他にウォロフ語などのローカルな言語も話されていますが、英語は一般の方には全くと言って良いほど通じませんでした。
私が直接やりとりした現地法人の人たちは、英語を話せることも多かったので、業務上はなんとかなったのですが、普段の生活は基本的に身振り手振りと英単語を駆使して乗り切りました。正直に言って、肉体的にも精神的にも辛かったのですが、その分鍛えられたと思います。

セネガルでの一コマ

「機械」に興味があれば、学びたいことは見つかる

Q 早稲田で学んでいたことは今につながっていますか?

総合機械工学科の草鹿研究室で、エンジンの燃焼解析をメインで研究していました。そういえば、最近、当社(三菱重工)と草鹿研究室で共同研究が盛んに行われています。私もメンバーとして参画していて、そこでも燃焼解析をしていますから、いろんな意味でつながっていると言えますね。
内容的にも直接つながっていると言っていいと思います。エンジン一筋でやってきました。もっとも、学生自体に力を入れていたのは、シミュレーションで、現在は実機を扱うことが多いので、同じことをやっているわけでありませんが、理論が実際になる過程を大学から、就職先にかけて学べているので、恵まれていると感じます。
実を言うと、学生自体はあまり実験が好きではなかったんです。エンジンの駆体を作るのには、費用も手間もかかりますが、シミュレーションであれば、自由自在なので、夢中でシミュレーションばかりやっていました。学生時代にもっと実験にも力を入れていれば良かったと思うこともありますが (笑)。

Q 総合機械工学科を目指す学生にメッセージを

 もともとエンジンに惹かれたのは、シンプルな構造と運動で莫大なエネルギーが生まれることが面白いと思ったからなのですが、実は入学する前はロボティクスに興味がありました。さらに研究室にはいってからは、実機そっちのけでシミュレーションに熱中していたのは、先ほどお話した通りです。こんなふうに「機械」の分野であれば、興味のままに、学んでいけるのが魅力だと思います。ですから、機械に興味があれば、迷わず進学して欲しいと思います。やりたいことは、きっと見つかるはずです。