機械に興味がある人が国立大学より
早稲田の「機械」に進むべき理由

総合機械工学科 教授
吉田 誠Yoshida Makoto
専攻分野 輸送機器・エネルギー材料工学
2017年度インタビュー

機械工学では、世の中の機械ーー電車・自動車・飛行機などの身近なものから、ロボットやロケットまでを作るために必要なことを学びます。ですから、機械に大なり小なり興味があるなら、機械工学科に進学する良いでしょう。
機械工学の基礎にあるのは数学と物理ですから、高校で学ぶ数学・物理は機械を作るのに直接役立ちます。また、化学も役に立ちます。それから、先行研究の情報を入手しなければなりません。先行研究の情報がなければ、苦労して作った機械がすでに存在していて、無駄骨ということになりかねないからです。研究情報の多くは英語ですから、英語が扱えなければなりません。だから、本学科では上記科目を受験科目にしているのです。

早稲田を選ぶべき理由①
機械に不可欠な実作業・実践教育

続いて、機械に興味がある若者が国立大学より早稲田をお勧めしたい理由をお話しましょう。早稲田大学創立者・大隈重信は、以下のように「学問の活用」を創立の第一義のひとつに掲げています。
早稲田大学は学問の活用を本旨と為すを以て
学理を学理として研究すると共に
之を実際に応用するの道を講し以て
時世の進運に資せん事を期す
「学問の追求は当然だが、世の中に役立てることも大事」ということです。せっかく学ぶなら、勉強したことが社会で役立つようにしなければなりません。機械工学で学んだことを活かすために絶対不可欠なのが、実作業をともなう実践教育です。理論だけでは機械は作れないからです。早稲田ではこの実践教育を徹底しています。
たとえば国立大学を含め、一般的な大学の機械工学科では、1〜2年次は基礎教育だけで終わりますが、総合機械工学科では1年生の頃から、実験を多用する授業、知識を活用するための実践教育が組み込まれています。機械に興味があって入学した学生は、早く機械に触れるので、モチベーションを下げずに研究に取り組めるでしょう。3〜4年になると、実践度はさらに高まっていき、ものづくりの最先端の現場に触れることが可能です。

早稲田を選ぶべき理由②
豊富な機械設備と技術職員の人数・優秀さ

実作業をともなう実践教育のために不可欠なのが教育設備です。早稲田大学の機械設備は国立大学の上位校に比肩します。さらに、機械の保守点検を行い、学生に機械の扱い方を教える技術職員の人数も質も充実していることは、多くの国立大学の実情とは異なるでしょう。
実践教育は、教員と技術職員の能力が両輪となって前進します。早稲田では、技術職員がもっているノウハウを徹底活用し、実験・研究に必要な設備や装置がつねにメンテナンスされていて、フルスペックになっています。大隈重信が掲げたスローガンを口だけにせず、知識や技術を実践に移し、社会に活用しているのです。

早稲田を選ぶべき理由③
日本を代表する企業の人脈

総合機械工学科の卒業生は、学部、修士を卒業後、世の中に出て、皆さんもよく知っているような企業、日本のみならず、世界的に知られている企業に就職し、大いに活躍しています。理工学術院全体でも、そういう有名企業で活躍している人が多いです。文系出身者も同様で、大きな企業の経営陣に名を連ねています。在学中はなかなか感じられないかもしれませんが、卒業してから早稲田のありがたみがわかるはずです。

早稲田を選ぶべき理由④
学術情報を取得するプラットフォーム

早稲田大学は図書や学術系の情報量も国立大学上位校に比肩するレベルにあります。情報収集のために大きな予算を割いているため、最新の学術情報を取得するためのプラットホームはどの大学にも決して負けません。
冒頭でも少し触れましたが、学術情報の収集は研究のために非常に重要です。先行研究の情報がなければ、他人がすでにやった研究をもう一度やることになりかねないからです。私たち研究者は銀メダル・銅メダルで満足するわけにはいかないのです。

はやりすたりのあるような研究ではなく
いつの時代も求められる普遍的研究を

私自身の専攻分野は「機械材料」です。地味に思えるかもしれませんが、ある意味では、どんな最先端分野よりも重要な分野だといえます。
トヨタが少し前まで織物機の会社だったように、これまで人類が作り出す機械は、20年、30年程度で変わってきました。今後も変化していくでしょう。しかし、機械材料はいつの時代も、どんな機械にも必ず使われます。この先、何十年、何百年と使われる普遍性が高い分野なのです。仕事はいつの時代も必ずあると断言できます。いつでも、どこの国でも。
しかも、その材料の特性が進歩することで、機械そのものの性能が劇的に向上することは、歴史上、多々あることです。たとえば、日本で発明されたアルミニウム合金は、世界最高の強度を持っていたため、すぐれた運動性能をもつ航空機・零式戦闘機の開発につながりました。このようにものづくりに具体的に貢献することも可能です。実際、私たちの研究室では、国際宇宙ステーションへの輸送用コンテナ「こうのとり」の姿勢制御用エンジンの開発に貢献しました。また、ロケット、航空機、自動車、電車などの開発を、国家プロジェクトに参加したり、関連企業と共同研究を行ったりするなかで実践しています。大学の中で閉じこもっているわけではなく、企業の開発部隊と一緒に研究に取り組んでいるのです。
食いっぱぐれのない研究で、かつ最先端の開発にも関わることができる研究に興味がある方は、ぜひ機械材料を学んでみてください。