学部長賞受賞作品

生息域可視化アプリの開発~多摩川の外来種問題の解決に向けて~

8班Eグループ
笠原丈都 1X21A048 
佐藤翔一 1X21B078 
森本勇亮 1X21C118 
渡邉優貴 1X21D088
 
僕たちは「生息域可視化アプリの開発~多摩川の外来種問題の解決に向けて~」というテーマで研究をしました。生態系問題を考えるうえで多摩川の外来種問題をモデルとして生息域可視化アプリを用いた解決策を考えました。多摩川では外来種増加による生態系の破壊が問題となっています。アリゲーター・ガーやピラニアなどの熱帯外来種が非常に多いことから通称「タマゾン川」と呼ばれています。要因として生活排水による水温上昇が挙げられます。一年を通して高い水温が保たれるので熱帯魚でも冬を越せる環境ができてしまい、外来種が繁殖し在来種の生息域を侵したり、在来種を捕食したりすることで生態系に大きな影響を及ぼしています。
 
僕たちはこれらの問題点に対する解決策として多摩川に生息する外来種の生息域の可視化アプリを提案します。まず、多摩川に生息する生物の生息域を調査するためにAIカメラを水中に設置し、多摩川のどの場所にどんな生物が生息しているのかを調査します。生き物を識別することのできるカメラはすでにLINNE LENSというスマホアプリとして開発されており、開発することは可能であると考えられます。そして、カメラの設置場所に関しては、外来種の多く住む中流から河口の間に設置するものとします。また、外来種は暖かい場所を好む性質があるため、多摩川の水温よりも高い温度の水を排出している下水処理場の近くに多くのカメラを設置することが好ましいと考えられます。そして、このAIカメラにより得られたデータを可視化し、釣り人や外来種駆除業者むけのアプリとして発信することで今よりも効率的に、より多くの人で外来種の駆除が可能となります。
 
また,カメラと併用してマイクロチップを使った調査も行います.外来種を数十体捕獲しマイクロチップを挿入したのち川に帰し,マイクロチップリーダーを設置します.設置したマイクロチップリーダーで外来種の通過量,通過した個体を調べることで,外来種の密集地を調査し,アプリの情報をより詳しいものにします.マイクロチップはカメラと違って,捕獲しマイクロチップを挿入した個体の情報しか得られないが,雨などで水質が悪い時でも調査ができ,特定の個体の移動も調べることができます.マイクロチップは実際に国土交通省国土技術政策総合研究所のサンショウウオの生態系調査に使われています.写真のような小さなサンショウウオにも用いることができます.
 
では以上のことをまとめると、多摩川に設置したカメラや生物に取り付けたマイクロチップにより、多摩川に住んでいる生物の生息域を把握し、そのデータをマップなどに落とし込み、アプリ化します。すると、図のように一目で生息域を把握することができるため、在来種を脅かしている外来種の駆除をするために駆除業者や釣り人たちが的確にその釣り場所に行く助けとなることが可能だと考えています。ここで例えばこちらの画像にあるようにおさかなポストなど外来種の回収ボックスを設置することによって釣り人や駆除業者により行ってもらいやすくすることも可能です。そしてまた、生息範囲が把握できることを活かしてその場所を釣りスポットとして整備すれば、新たな観光地の形成ができ地域の活発化も見込めます。そして、これを利用して無計画な保護活動ではなく、効率的に生態系の保護ができるとも考えています。
以上より、IOTを使ってアプリを開発することで外来種の駆除によるSDGsの海や川の生物を守ろうという目標を達成することができるだけでなく、観光地も同時に形成することができることや生態系の効率的な保護が望めます。以上で発表を終わります。

 
有賀学部長と担当の加藤洋一先生と
 
有賀学部長による講評
 
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