学部長賞受賞作品

海上ドローンとIoTによる海洋のごみ回収

12班Cグループ
櫻井 智基  1X22B062
小野 雄太  1X22E022
卓 由眞   1X22A092
半澤 伸晃  1X22D072
林 浩次郎  1X22B122
長谷川 知輝 1X22C082
 
はじめにプラスチックゴミによる海洋汚染について説明します。現在東南アジアやアメリカなどの中緯度地域の海洋が特に汚染されています。またゴミの個数は少ないですが、高緯度地域まで汚染されていることが分かります。プラスチックゴミが小さくなったマイクロプラスチックゴミが魚などの海洋生物の体内に入り込み、漁業や海洋環境に悪影響を及ぼします。海の景観も悪くなり、観光業や沿岸域居住環境に悪影響をもたらします。
 
ここで現在国際的に取り組まれている海洋プラスチックごみの回収プロジェクトについて三つの例を紹介します。一つ目は「第八の大陸」という自家発電を利用した自立型の施設です。これは、海上に漂いながら海水を取り込み、ゴミをろ過する工程を繰り返すことで海上に漂うゴミを回収する仕組みで、太平洋ごみベルト問題の解決に有効なプロジェクトとして注目を集めています。太平洋ごみベルトとは、海流や風の影響により世界中で投棄されたゴミが最終的に行き着く場所の一つで、その面積が日本の国土の4倍にも上ることから第八の大陸と称され、先ほどの施設の名前の由来にもなっています。二つ目の例としてSystem001を紹介します。これは、U字型の網を常に張りながら風や海流の力のみで移動し、ごみを集めていく仕組みで実現性の高さから注目を集めております。三つ目の例としてSeaClearを紹介します。SeaClearは海上を飛行するドローンで、海上に浮遊するゴミを感知し海中の小型ロボットに情報を知らせ回収していく仕組みになっており、これまでの取り組みとは新規性の面で一線を画すとして注目されています。
 
それでは、今ご紹介した三つの例を参考に我々が考えた海上プラスチックごみ回収計画を発表します。それは、太平洋ごみベルトのようなゴミの集積しやすい海域に存在する島を回収拠点とする海上ドローンを用いた回収サイクルを確立することです。具体的には島に自家発電による海上ドローンの充電施設を設け、U字型の網を備えた多数の海上ドローンによりゴミを回収し、充電の減りを感知すると自動で充電施設に戻る仕組みを考えました。
 
問題点として、海洋生物との衝突や海の波の状況、天気の変化などにより海上ドローン自体が破壊されそれがゴミになることが考えられます。それに対しては、例えば圧力の変化を感知するセンサを設けることで、台風が近づいている時の気圧の低下を感知して被害を未然に回避する仕組みや、現在お掃除ロボットのルンバに搭載されているような障害物検知システムと赤外線センサを用いたサーモグラフィーを合わせて搭載することで、船や体温を持つ海洋生物をよけながら海洋プラスチックごみだけ回収する仕組みも盛りこむことにより、さらなる実現性の向上を目指しました。万が一海上ドローンが海上ゴミになった場合にも、内蔵されているGPSを通して発見し回収することができます。
 
今回の我々の計画は、現存する「島」を海洋プラスチックごみの回収拠点とすることで、先ほど国際的な取り組み例で示したような移動施設を作るよりも実現性が高まり、また、太平洋ごみベルトのような「ゴミの集積する場所」を選んで集中的にかつ多数の海上ドローンを用いて効率的にごみを回収できるため、世界各地の海域で回収の取り組みを行うより有効性の面において優れていると考えております。しかし、現存する島を海洋プラスチックごみの回収拠点としたことで、その島の生態系や自然環境が破壊されてしまうという懸念があります。この改善策の一つとして、埋立地を作ることで環境に与える負荷を最小限にすることが考えられますが、完全に環境に対する悪影響を無くすことができないのが、この海洋プラスチックごみ回収計画の最大の課題です。今後の展望として、先ほど国際的な取り組みの例で説明した海洋ステーション「第八の大陸」のように、自律的に浮遊しながらプラスチックごみを回収する施設の開発が実現できれば、我々のプロジェクトと組み合わせることでこの課題を解決する仕組みが確立できると考えております。
 
この計画の新規性としては、現在SeaClearを始め次世代の海洋プラスチックごみの回収プロジェクトとして注目を集めている「海上ドローン」を、人間の操作、監視なしに圧力センサや赤外線センサ、障害物検知センサなど、多数のセンサを始めとするIoT技術を盛り込むことで自律的に海洋プラスチックごみを回収することを可能にできたことです。
 
また、この海上ドローンの二つ目の活用方法として、海上の遭難者を発見することを考えています。普段は会場のゴミを収集・運搬することを目的としますが、同時に耐水性のサーマルカメラとGPSを搭載し、常に海上を監視させます。そして人の体温を検知した際、海上保安庁などに位置を知らせ、岸まで運搬させることを想定しています。
 
ここで問題になるのが水温や魚の体温と人の体温が混同してしまわないのかということですが、一般に水温が30℃を超えることはほとんどなく、遊泳者に推奨される水温は約20℃です。また大抵の魚の体温も水温とほぼ等しく、20℃前後です。一方、人間の体温は低体温症の場合でも35℃程度です。この二つの体温は人間が暖色、それ以外は寒色で表示されるため、人間と他の温度を区別することは十分に可能です。
最後にまとめです。我々は海上プラスチックゴミの回収、非常時では遭難者の発見にIoTを応用できるのではないかと考えました。また、自然エネルギーを使った発電を使うことで、ドローンが自律的に動くような仕組みを構築できるのではないかと考えました。そこでドローンが故障してしまう可能性が考えられるのですが、その対策として、ドローンが故障しないように衝突などを回避するセンサ、壊れた際に回収できるようにGPSをつけ、ドローン自体がゴミになってしまうことを回避できると考えました。

 
プレゼンテーションの様子
 
講評後に有賀学部長と
 
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