技術者は日本の宝
マーケティングの世界から彼らを応援したい

株式会社電通 第1統合ソリューション局
服部 嶺 Hattori Rei
小松原研究室
2020年度インタビュー
※新型コロナウイルス感染対策のため、リモートで取材を実施しました

Q 現在の仕事は。

所属する第1統合ソリューション局で、広告・プロモーションの企画立案、実施、検証を担当しています。いわゆる「戦略プランニング」という領域です。また顧客企業のマーケティング活動を支援するために、広告・プロモーション領域だけでなく、商品の開発をお手伝いすることもあります。
最近の事例だと、大手自動車メーカーの研究開発セクションと電気自動車のコンセプト立案に携わりました。電気自動車は現在、欧米諸国や中国などで普及していますが、5-10年後を見据えた電気自動車を開発する際にどのような方向性を目指せばいいのかを調査したのです。現地での実際の使われ方をヒアリングし、それを開発者の方々と共有してコンセプトを練り上げていきました。
また、男性用シャンプーの開発案件で、ある製薬会社の研究所を訪れたことがあります。そこで技術者から開発で苦労したエピソードや、成分へのこだわりについて聞きました。その口ぶりからは、商品にかける熱意があふれていました。
話を聞いて改めて商品を見ると、とても良いものに思えました。だからこそ、ぜひその魅力を発信しようと。でも本当は商品と同じくらい、技術者の魅力を発信したい。彼らの知恵や経験は日本の宝です。それを一つの価値として社会に根付かせたいのです。私の祖父は精密歯車の技師で、叔父はバイクのエンジニアでした。その影響も少しあるかもしれません。
広告会社に入ってよかったと思うのは、あらゆる業種に関われることです。現場の技術者や研究職、他の事業部と関わりながら、その商品の魅力を発信する。直接何かを作れるわけではありませんが、これが私なりの「ものづくり」への携わり方ではないかと思うのです。

経営工学を学べば、
仕事で遅れをとることはない

Q 大学で学んだことが、どのように仕事に活きていますか。

私は小松原研究室で人間生活工学を学びました。人間生活工学とは「人(=生活者)を起点」に「ものづくり」や「社会のシステム・生活そのものの設計」を考察する学問です。広告では、従来グラフィックや言葉によって、人の気持ちを動かすことを重視されてきました。現在では位置情報や購入履歴などのデータから人の行動が把握でき、また行動そのものがオンライン上ということも増えており、気持ちだけでなく「人の行動そのものを動かす」ための設計が広告・プロモーションにも求められてきています。
私は商品企画に興味があったので、学部の頃は人の行動観察を商品企画に活かすフォーマットについて、修士では「理想的なお客様」の顧客情報を生成する研究をしていました。この分野も現在の仕事と似通っているなと思います。
さらに、経営システム工学科では授業で統計解析をやりますが、今の職場ではこれが役に立っています。市場分析やデータ解析をする際に、その作業を何のためにやるのか全体像が見えているので、先を見通せる強みを感じています。

電通と早稲田に共通するのは多様性

Q 電通に入社した決め手は。

この会社を選んだ理由は「人」でした。コミュニケーション能力に長けた人、引っ込み思案だけど真面目な人、発想が豊かな人。そのように多様な人材がいる組織では、私もピースの一つとして、うまくハマるような気がしたのです。
多様性という意味では早稲田も同じです。私は大学時代にテニスサークルに入っていました。そこは200人くらいの大きなサークルで、日頃から先輩や後輩、他大の人と交流する機会がありました。朝はテニスの練習、昼は研究活動、夜はアルバイトで、今思えば常に人と接する日々でした。そこで培ったコミュニケーションスキルが、就職後も役に立っていると思います。

Q 早稲田生に一言。

興味の向くままに色々なことを経験してほしいと思います。それがおのずと将来につながるはずです。私自身、先々役に立つだろうと思って経験を積んだわけではないですが、不思議と大学時代の経験が仕事に活きています。
創造理工学部は建築や機械、環境、経営工学と、幅広い学問を扱っていますから、学科によって得られる知見は異なります。学生の活躍するフィールドもさまざまだと思いますが、その選択肢のなかに弊社があればとても嬉しいです。