多様な価値観との出会いがある
早稲田の環境

GEヘルスケア・ジャパン株式会社
ISS本部ディレクター製造オペレーション
藤 成美Tou Narumi
2016年 総合機械工学科卒業
滝沢研究室
2018年度インタビュー

Q 現在のお仕事内容について教えてください。

医療機器の生産・販売を手掛けるGEヘルスケア・ジャパンにて、CTにおけるディテクター(検出器)の製造ラインのチームリーダーを務めています。実作業を行うオペレーターのマネジメント業務が主な仕事。製品の受注状況に応じて生産管理を行う役割を担っています。
業務の幅は広く、作業効率UPのための工程精査やトラブル対応、オペレーターの勤怠管理まで行っており、早い段階からリーダーとしての経験を積むことができている今の環境はありがたい限り。今後はより広い範囲にも目を配りながら、機会があれば別の部署でも経験を積んでいきたいと考えています。

Q 日本企業と外資系企業では、働く身としてどのような違いを感じますか?

メールでの定型文や礼儀作法など、日本企業は通例となっていることを重視する傾向があるかと思いますが、外資系企業はいい意味でそのあたりの部分が適当。メールには「お世話になっております」と書く必要はありませんし、分からないことがあればすぐに役職関係なく連絡が取れる環境が備わっています。社員同士がフランクにコミュニケーションを取っている印象がありますね。また、若い人材に多様な経験を積ませてくれる傾向があるのも、外資系のよい部分だと思います。

「実験をしない」研究室で
コンピューター解析に取り組む

Q 大学時代に取り組まれた研究内容についてお聞かせください。

滝沢先生の研究室でパラシュートの研究をしていました。火星用の探査機に搭載するパラシュートで、地球への帰還時に機体を減速させるためのものになります。先生が専門とされている、流体 – 構造連成解析を行っていました。宇宙の分野は社会に出てから触れる機会が少ないだろうと思ったことが、研究室を選んだきっかけです。
滝沢先生の研究室は、早稲田の充実した環境がある中で「実験をしない」という機械科の中では珍しい研究室。主に現実では実験環境が得られない事柄についてコンピューター上で解析をし、企業からいただいたデータとのすり合わせを行いながら近似解を求めていく作業は非常に興味深いものでした。解析作業以外にも、JAXAで風洞実験を見学する機会をいただいたり、パラシュートメーカーと意見交換が出来たことは貴重な経験だったと思います。

Q 学部を選んだ理由について教えて下さい。

創造理工学部を選んだのは、モノづくりに興味があったということ、また、自分がどういったことを学んでいくべきなのか、入学してから検討する余地が欲しかったから。実際、さまざまな選択肢がある中で宇宙に関連する研究にたどり着くことができ、よかったと考えています。
総合機械工学科の授業では、実際に工作機器に触れながら金属を加工する授業が楽しかったですね。「皮膚が見えるものを着てはいけない」という決まりがあったので、破れたジーンズを履いていた友人が、慌ててガムテープで破れた部分を塞いでいたことが今でも思い起こされます。グループ単位で小さなエンジンを一からつくるという授業があったのですが、目論見通りに金属部品をつくることができず、寸法精度の大事さを体感。この経験は精密機器を扱う現在の私の仕事にも活きていると思います。

Q 早稲田に入ってよかったと感じている点を教えてください。

早稲田は「College」ではなく「University」。学生生活の中では自身の学部だけでなく、文系学部にも友人ができ、文系キャンパスに遊びに行くなどの交流がありました。そんな中で多様な価値観と出会うことができたのは、私にとって財産となっています。
また、難しい課題には自分一人だけでなくチームワークをもってトライできたのも、その後の自分にとってよい経験になりました。社会に出てから業務を行う上でのコミュニケーション能力の重要性を痛感していますが、学生生活の中で同期生をはじめとしたさまざまな方と、密度の濃い時間が過ごせたことが現在の糧となっているように思います。

Q 受験生へのメッセージをお願いします。

明確な目標を持っている方は、それに向かって邁進するのみだと思いますが、具体的な目標が見えない中で高みを目指しているという方も多いのではないでしょうか。時にモチベーションが保てなくなることもあるかと思いますが、そんな時にはひと息入れて、目の前のやるべきことに注力することが大事だと思います。誰もが明確な目標・目的を持って受験に臨み、合格しているわけではないことも確か。入学後、進みたい道を見つけて転科するという選択肢もありますし、志望大学に妥協をせず、力を尽くしてほしいと思います。
何にでもチャレンジできる若い期間は有限ですので、自分自身が持つ可能性を発揮し、満足のいく結果を手に入れてください。