興味の対象は必ず見つかる
モノをつくる喜びを体感してほしい

総合機械工学科 教授
宮下 朋之Miyashita Tomoyuki
専攻分野 設計工学・振動工学・宇宙工学
2018年度インタビュー

納得のいく「モノ」を作り、その喜びを糧にしてさらに高度な「モノ」をつくる。このサイクルの中で見識を深め、4〜6年後には企業でリーダーシップを取りながら、先端のプロダクトを世に生み出すことができる人材を育成していくというのが総合機械工学科のねらいです。
ロボット、自動車・小型モビリティ、AI、生産設備、医療、宇宙構造物など研究の対象ジャンルはさまざま。バラエティに富んだ学生たちが、切磋琢磨しながら個人の力を伸ばすことのできる環境が整っています。誰しもが、モノを自分でつくってみよう、この物体の構造はどうなっているんだろうと興味関心を抱いた経験はあるはず。現状で研究対象が定まっている必要はありませんので、何かを生み出す、作り上げるという事に興味のある方はぜひ志望してほしいですね。

高い充実度を誇る研究環境で
エンジニアとしての基礎を養う

機械工学を扱う学科・大学は多々ありますが、早稲田に入る大きなメリットのひとつとして、環境の充実度が挙げられます。この環境で実験を行いたいと思った時に、実現できる環境があるのとないのとでは、その時点で大きな差が生まれてしまうもの。設備として宇宙空間を再現する真空チャンバーや水深3mの地下プールを備えるほか、他学部・他学科の設備も申請することで利用ができるので、その点安心感があるかと思います。
また、私の研究室の話になりますが、実験の内容に応じて東京都の試験場をお借りしているほか、これまでに国の支援を受ける形で人工衛星の打ち上げを2基ほど行っている実績があります。特に人工衛星ほどスケールの大きいものになると、世界の上空をフィールドにする関係上、煩雑な手続きを行う必要があり、個人レベルでは到底取り組めないものになります。行政とも連携を取り、高いレベルでトライアンドエラーを繰り返しながら理想のイメージを形にしていく。時にはチームを組み、1人では不可能な実験・検証を実現できるのが総合機械工学科です。時代の先端で、自分の頭を使いながらモノづくりにチャレンジすることができます。

研究のレベルが上がっていくにつれ、身の回りにあるものだけを使用するのではなく、材料から必要な部品をつくれるようになるなど、できることの範囲が広がりを見せてきます。そんな中避けて通れないのが「人間」の存在。自由にものづくりができるようになる一方、現在の研究を人に役立つものに高めるには何が必要かという事に対して、真剣に考える段階がやってきます。モノを利用する人の立場になり、使っている姿を思い浮かべながらモノづくりを行うことは、エンジニアにとって重要なファクター。総合機械工学科には、価値あるモノとは何なのかをじっくり考えて実践できる環境が用意されています。

学生時代に取り組んだ研究を
その後の人生に直結させることができる

大学院進学率90%超という数字が示す通り、大多数の学生が6年間、機械工学の学習、研究に取り組む機械総合工学科ですが、就職に関する心配がほとんどないという事がこの高い進学率の裏付けとなっています。累計2万人以上のOBは頻繁に大学を訪れるため、多くの企業の情報に触れることができますし、人工衛星など専門性の高い研究を行っていれば自然と人脈も築けることから、学生時代に取り組んだことをそのまま活かして就職につなぐケースも多く見られます。
目まぐるしいスピードで便利な世の中に変化を遂げている現代ではありますが、スマートフォンで簡単に設計・製作とまでは行きません。新しい未来を切り拓くモノづくりを行うためには、やはり身体と頭をフルに使いながら格闘する必要があります。ぜひ総合機械工学科で、自分自身の「考える力」を伸ばしていってほしいと思います。