構造を通して防災に貢献し、
将来は世界で活躍する人材に

社会環境工学科 学部3年
海崎 真穂 Kaizaki Maho
2021年度インタビュー

Q 社会環境工学科に進んだきっかけは

小学4年生のときに、東日本大震災がありました。その後も、熊本地震や各地で起こる集中豪雨などの災害に見舞われ、ものごころついたときから「ずっと災害が起きている」のが私たちの世代です。防災や環境問題に関心がいくのは、私としてはとても自然なことでした。
防災への興味からこの学科を選んだわけですが、入学して実際に学んでいくと、次第に「構造」分野に興味が出てきました。社会環境工学科は橋梁・トンネル等の大規模構造物の構造をあつかう社会基盤部門と防災が専門の環境防災部門、都市計画や景観を担う計画・マネジメント部門の3部門がありますが、「構造」の社会基盤部門に進もうと考えています。
これらの分野は完全に独立しているわけではなく、関連し合っています。学部3年の現在は専門に分かれる前なので、3部門の授業を受けているのですが、「構造」の視点で他の分野をみるように変化してきました。構造から防災に貢献できるようになりたいと思うようになりました。

Q 構造で防災に貢献というのは

構造設計の基準は、耐震性など防災を目的としたものも多いのはご存知と思います。防災部門だとハザードマップのような地域の状況を調べたり、過去の災害履歴などの情報を当たったり、1つ1つの事例について考えるような部分がある。一方、構造は具体的な構造物の安全性を、数式を使って担保するもので、こちらの方が、シンプルで自分に合っていると感じたのです。
単純に構造計算の作業自体が楽しいというのもあります。2年生までは構造計算の手法面というか知識を吸収するような授業が多かったのですが、3年生になると実際の構造物を例にとった実践的な授業が増えてきました。より専門的な内容に触れられて、わくわくしています。

「構造デザイン演習」では、理論が現実のものに

Q 印象に残る授業は

「構造デザイン演習」です。これは朝潮橋という東京都中央区に実際にある橋を掛け替えるまでの事前作業を一通り擬似体験するものです。具体的には、まず、現地に赴いて橋梁やその周辺の要素をフィールドワークで把握するところから始めました。次に橋の設計と構造計算ソフトを使っての耐久性のチェック。最終的に模型に落とし込んで、耐久性や「たわみ」などを実際に負荷をかけてテストしたり、景観と構造のそれぞれの専門の教授から違う視点で指導をしていただける貴重な機会になりました。
現存する橋ですから、周辺環境への配慮など制約条件も多かったのですが、私はそれが面白かった。理論が現実になっていく瞬間がある気がしました。とても人気のある授業です。

課題の対象となった朝潮橋

Q ご自身の将来についての考えをお聞かせください。

まだ迷っているところで、進学か就職かも決めていません。この夏にインターンに行こうと思っているので、じっくり考えたいと思っています。 いつか海外で働いみたい気持ちがあります。日本はなんだかんだ言っても先進国でインフラ設備も充実しています。メンテナンスの問題など、課題はあるのですがそれすらないというか、まだインフラが確立していない国の「あたり前」をつくる仕事も経験してみたい。そのために早稲田大学の「ICC日英オンライン・エクスチェンジ・プログラム」という、Skypeでオーストラリアの大学生と語学を教えあうプログラムを受講しています。オーストラリアの学生は日本語の学習者で、日本に興味がある人です。内容は本当にくだらない話というか、お互いの国の好きな食べ物とか、日常のことを話すのですが、だいぶ鍛えられたと思います。プログラム終了後も月に一回は話しているので、良い習慣になっていると思います。 学業以外も自ら動けば、いろんなプログラムや機会があるので、早稲田にきたらその辺りも積極的に利用できると良いと思いますね。