研究で大切なのは
「何のためか」を問い続けること

経営システム工学科 学部4年
浮田 翔子 Ukita Shoko
永田研究室
2020年度インタビュー
※新型コロナウイルス感染対策のため、リモートで取材を実施しました

Q 研究の概要を教えてください。

過去のインフルエンザ患者数を統計的に分析して、これからのインフルエンザ患者数を予測することを目指しています。
インフルエンザには、A(H3)型、A(H1N1)pdm09型、B山形型、Bビクトリア型、のように様々な型が存在します。それぞれの型の流行状況を見ると、A型の方がB型より流行ピーク時の患者数が多かったり、B型の方がA型より流行時期が遅かったりするなど、型によって流行時の患者数の分布が異なります。
インフルエンザの患者数を予測する研究は既に数多く存在します。研究の多くでは、全ての型の患者数を合算して予測するのですが、合算せずに患者数の分布が異なる型を分けて分析した方が、患者数の予測精度が上がるのではないかと仮説を立てました。インフルエンザの型ごとに患者数を予測し、精度が改善されるか否かを調べようと考えています。
現在は、ARIMAモデルや状態空間モデルといった時系列モデルを利用して、時点ごとの患者数を予測しようと考えており、時系列モデルについて勉強している最中です。 
患者数の予測を行う上では、「良い結果が出たとしても、誤った方法でまぐれ当たりしているのではないか」を注意するようにしています。なぜなら、誤った手法で「まぐれ当たり」のように良い結果が出たとしても、それは現実の問題を解析する上では役に立たないからです。これまでの作業の苦労などは、理論を補強してくれません。
進むべき方向に悩むときは、永田靖先生の言葉を思い出すようにしています。
ある時、インフルエンザ患者数の時系列データを作るという研究目標があるのにも関わらず、直接関係のない問題にこだわっていた時期がありました。そのときに永田先生から「それは何のためにやっているの?」と聞かれました。
研究を進める中で、目の前の作業に追われていると、「何のため」なのかを見失ってしまうことがあります。常に研究の目的を意識することの大切さを教えていただきました。

海外に出ることで
自由な生き方に気づけた

Q 短期留学に行かれたそうですね。

「海外フィールドワーク」という留学プログラムを利用して、2年生の夏にシンガポールに2週間行きました。大学に入るまで海外に行ったことがなかったので、外から日本を客観的に見てみたいという思いがありました。
現地の女子学生と交流して気づいたのは、自分に強い自信を持って生きる女性の多いこと。日本で暮らしているとなかなか出会えないような、リーダーシップがあって、とても自立的な女性が多かったのです。
世界経済フォーラムが発表した2019年の男女平等ランキングでは日本は153ヵ国中121位であり、先進主要国首脳会議参加国(G7)でも最低です。残念ながら現在も様々な面で男女平等とはいえない日本社会に生きている中で、海外へ行ったことで日本を以前より客観視でき、日本で普通とされていることが本当に普通なのか疑う力を身に付けられたことは大きな収穫でした。
現地では英語が思うように話せず、会話に追いつけないことが悔しかったので、帰国後は積極的に英語の授業を取って勉強を続けています。

経営システム工学科なら
本当にやりたいことが見つかる

Q 経営システム工学科に入学した理由は?

高校生の時の私は、関心のある学問(テーマ)が多かったのですが、大学で一つの学問を選んで突き詰める、と考えた時に何を深く学びたいかが分からない状態でした。 経営システム工学科は統計解析や金融工学、工場の現場改善など、扱っているテーマの幅が広いので、私もここでなら自分のやりたいことが見つかるかもしれないと考えました。
1年生のときに「統計解析法」という授業を受けたとき、数学が現実の世界でどのように応用されているかを知り、とても面白いと感じて、この学科に来たのは間違いではなかったと思いました。
ですから、興味のある分野が多く、突き詰めて学ぶ学問が一つに定められない人は、経営システム工学科できっと自分の深めたい学問が見つかると思います。また、既に経営システム工学科の扱う領域に自分の興味の持つ分野が存在するという人は、もちろんレベルの高い先生方のもとで自分の興味のある分野の学びを深めることが可能です。経営システム工学科は、理工学部の他学科と比較して必修授業で時間が拘束されることが案外少ないです。趣味やサークルの時間が持ちやすいのも魅力。充実した学生生活を送れるはずです。