複数の指標を合わせた
実際に役立つリスク評価を

建設工学専攻 修士1年
竹本 梨香Takemoto Rika
秋山研究室
2015年度インタビュー

Q 研究の内容を教えて下さい。

供用期間にわたり様々なハザード(危険因子)を受ける橋梁において、どのハザードに対する対策をいつ講じるべきか、リスク評価に基づいた適切な判断を下すための研究に取り組んでいます。
たとえば、橋梁の場合、地震で損傷するおそれがありますが、このリスクは、①地震の発生確率、②橋梁が損傷する確率、③社会への影響・コストなどを掛け合わせて評価できます。これらのリスクを評価し、どの橋梁の、どの部材から補強や補修をしていくべきかを考えるのです。
他に橋梁に作用するするハザードとして、飛来塩分や、自動車による活荷重*などが挙げられます。現在、地震に対する補強や材料劣化に対する補修の枠組みは、それぞれ個別にはあるのですが、どちらの対策を優先すべきかの指標はありません。ですので、私はこれらのハザードを一緒に考えることで、何を優先すべきかを判断するための指標を作りたいと考えています。

Q 研究のやりがいは?

実用的で、実際的であるところでしょうか。研究ではハザードの発生から橋梁の構造、構造物が使用できないときの損失まで考えているため、必然的に社会への影響を考えなければなりません。ですから、自分の研究が社会と直接つながっていると実感できます。

社会環境工学科で学べば、社会の発展により貢献できる

Q 研究室の雰囲気はいかがですか。

秋山充良先生の研究室に所属しているのですが、とても熱心で面倒見の良い先生で、充実した研究生活を送れています。
秋山研究室では、2週間に一度行う個人ゼミと、月に一度開催する全体ゼミがあります。そこでは、毎回研究で進んだ点を報告・発表しなければなりません。それが大変なこともあるのですが、秋山先生はたとえ結果が出ていなくても、そのことを相談すれば必ず指針を示してくれるので、行き詰まらずに済んでいます。
また、研究は先輩とペアで行うので、学年を超えて仲良くなれて、全体の雰囲気も良いですね。

Q 社会環境工学科に入ろうと思ったきっかけを教えて下さい。

もともと建造物が好きで、社会環境工学科と建築学科とで迷ったのですが、インフラを中心に学べる本学科を選びました。
将来、開発途上国の支援を行いたいと漠然と思っていて、社会の発展により大きく寄与できるのは、やはりインフラの構築だろうと考えたのです。今でもできればそういう方向に進みたいと思っています。

Q では、英語の習得が必要ですね。

私は留学せず、大学で英語を学んできました。
早稲田では「General Tutorial English」というオリジナルの語学科目があります。授業はすべて英語で進められるのですが、レベルを自分で選択できるため、誰でも臆することなく学べます。先生1人に対して、学生3~4人という少人数制で、会話する時間も多く取ってもらえます。
理工学術院だけでなく、本部キャンパスでも授業を受けられるため、他学部の人と仲良くなることもあるようです。私は理工学術院で受講したのですが、他学科所属の学生の方に、英語で自分の研究の説明をしたのが楽しかったと記憶しています。
それから、英語ディベートのサークルに入って勉強していました。実は高校から英語ディベートをやっていたのですが、早稲田はレベルが高く、登壇して話すディベーターにはなれませんでした。その代わり、判定を担当するジャッジとして活動に参加し、英語で物事を考える勉強を続けました。

早稲田で身につけられる ゼネラリスト型の人材力

Q 他に早稲田または社会環境工学科に入って良かった点は?

早稲田の利点は、やはり総合大学である点だと思います。各キャンパスが近くにあって、他の学部の学生と仲良くなる機会も少なくありません。先ほど申し上げた英語の授業の他にも、「全学共通副専攻制度」という制度があり、他学部の講義を受講でき、必要単位を修得し、申請すれば修了認定証も発行してもらえます。
秋山先生はよく「構造に対する知識の他に、経済や都市に対する知識を併せ持ち、全体を見渡せるゼネラリストが求められている」とおっしゃっているのですが、ゼネラリスト型の人材を目指す 上で、副専攻制度を活用することも1つの手段として有効であると思います。
社会環境工学科については、前身である土木工学科を含めたOBとの連帯が非常に強く、つながる仕組みが多いです。このようなつながりも今後、様々な面で役立つと思っています。