需要が大きいのに担い手の少ない、
希少なリサイクルプロセスを学ぶ

環境資源工学科 学部4年
高橋 優輝 Takahashi Yuki
山口研究室
2021年度インタビュー

Q 環境資源工学科を志望した理由は?

大学に入るからには、研究がしたいと強く思って入学しました。環境資源工学科を選んだのは、やはり環境問題に関心があったから。小学生の頃から、石油をはじめとした資源の枯渇や、環境破壊によって地球は厳しい状況にあると刷り込まれてきて、危機感を持っていました。
高校生になって、大学を選ぶ頃には資源開発に関わりたいと思うようになっていましたが、具体的に何を学ぶのかまでは理解が及んでいませんでした。そこで、環境資源工学科のWEBサイトや、創造理工学部のWEBサイトで情報を調べてみたら、当時は、「地球・資源系」「素材・循環系」「人間・環境系」の3つの分野があり、幅広く学べそうだとわかりました。これなら入学してから、志望していた分野と違ったということはなさそうだなと安心したのを覚えています。現在は「資源系」「開発系」「循環系」「環境系」の4つへと再編されていますが、幅広く専門分野を学べることに変わりはありません。

Q 資源開発志望とのことでしたが山口研究室は金属リサイクルが専門ですね。

授業を受けていくうちに、少しずつ興味が移っていきました。山口先生の授業で、専門である金属製錬について学んだときに、説明がわかりやすかったのでとっつきやすいというか、自分でもより深く学んでみたいと思いました。
さらに未知の部分や解明されていないことが多くあるというのにも、興味をそそられました。自然界にある鉱石は掘り尽くされ、だんだんと濃度が低下していて、不純物の問題が取り沙汰されていますし、リチウムイオン電池の普及により、リチウムの回収とリサイクルなども喫緊の課題です。にもかかわらず、山口研のように乾式製錬によるリサイクルに取り組んでいるところは多くありません。ライバルが少ないというのも魅力的でした。

Q 研究内容を教えてください。

卒業論文ではプラチナやロジウムなどの白金族金属のリサイクルプロセスを取り扱いました。白金族金属は偏在性が高く、埋蔵量も少ない資源で、高価で希少な金属です。
自動車排気ガスの浄化触媒として知られていて、他の元素などで代替することが不可能です。そのため、資源の乏しい日本ではいかに高効率にリサイクルできるかが重要です。
私の研究では従来は廃棄されていた残渣から、これらの白金族金属を回収することを目的としています。卒論では不純物としてクロムを想定し、乾式プロセスで実験を行いました。
乾式プロセスというのは、1000℃を超えるような高温で鉱石や金属スクラップなどを酸化、還元するなどして目的の有価金属を回収するプロセスです。メリットとしては、一度に大量の原料を短時間で扱えるので、効率が上げられるのです。
不純物としてクロムを想定するというのは、これまでになされたことがないので、新規性のある研究ができました。大学院ではさらにチタンに対象を広げてこの研究を深めていきたいと考えています。
修士卒業後は、非鉄金属業界やセラミックス分野の企業で、研究職に就けたらと考えています。今取り組んでいる乾式のリサイクルプロセスに携わりたい。博士課程に進みたい気持ちもあるのですが、働きながら博士号を取得することもできるので、それも良いかなと思っています。

高温の炉から試料を取り出している様子。温度が高いため発光しているように見える

環境問題と資源開発も学んだ上で、
専門を決められる

Q 環境資源工学を目指す人にアドバイスはありますか?

高校の勉強はともすると、受験対策のため「だけ」のものになりがちですが、どうしてそうなるのかという原理まで興味を持って学んで欲しい。大学に入るとどうせやることになるので、その方が効率的ですし、なにより理解が深まります。
それと情報をできるだけ集めることも勧めたいですね。環境資源工学科は環境も資源も幅広く学べますが、他の大学で同じような学部、学科は多くありません。
資源や環境系に興味があるけれども、どちらの分野が向いているのかわからないという人には特におすすめです。やりたいことがきっと見つかるはずです。