現実の問題を解決し、社会に貢献したい
だから、経営システム工学科を選んだ

経営デザイン専攻 修士1年
須貝 和弘Sugai Kazuhiro
吉本一穂研究室
2017年度インタビュー

Q 研究分野からお聞かせください。

吉本一穂教授の研究室で、ロジスティクスの研究に取り組んでいます。ロジスティクスとは、物の流れを一元管理して全体の最適化を目指すことです。吉本研究室では、ロジスティクスのほか、工場や物流倉庫などのレイアウト改善、作業のムダを省くなどのオペレーション改善によって、作業を最適化、効率化するために研究しています。
このロジスティクスのなかで、私は「貨客混載」について研究しています。貨客混載とは、旅客の輸送機関を活用して、貨物を一緒に運ぶことです。2017年9月、規制が緩和され、注目されている分野でもあります。現在は国内大手宅配業者と共同で、地方の路線バスを利用した貨客混載の最適化を目指して研究しています。

Q このような研究に取り組もうと思ったきっかけは?

どうせ研究するなら、社会にとって意味があること、役立つことをやりたかったので、現実の問題に即した研究に興味がありました。その上で、現実の問題に取り組んでいる企業と、議論を深めながら研究したいと思っていました。これは教授や講師を務める方が多くの経営者とつながりがある経営システム工学科・経営デザイン専攻だからこそできることです。今取り組んでいる貨客混載の研究も、大学院の授業で講師を務めてくれたある企業の方が、配送業者を紹介してくれたからこそ実現できました。社会人の方とビジネスの現場で交流したいという気持ちもありましたね。

学生生活を楽しむために
心が惹かれたら素直にアクションを

Q 経営システム工学科を志望した理由はありますか。

志望理由のひとつは吉本先生の存在です。私は高校が付属校なのですが、学科選択の参考に大学の先生方がそれぞれの研究内容を講義する授業がありました。吉本先生はまず、1枚の紙を配り「そこに千円札と同じ大きさの四角を描いてみて」と指示。頭のなかで千円札を思い浮かべて描くと、続いて一万円札を描くように言いました。そこで、はたと困ったわけです。それぞれのお札の大きさがどうなっているのかなんて、普段は意識しません。
吉本先生は、日本の紙幣は縦の長さは同じで、横幅が異なっている(一万円札が最も長く、次に五千円札。千円札の横幅が最も短い)と種明かしし、この大きさには合理的な意味があると教えてくれました。アジアのある国ではどの紙幣も同じ大きさだが、それでは機械で判別しにくく、オペレーションコストがかかる。アメリカではすべて違う大きさで、縦の長さも横の長さも異なるので、判別しやすい反面、財布に収まりにくい。機械を通すにも適していない。一方、日本の紙幣は縦の長さが同じだから財布に収まりやすいし、機械を通すにも便利。横の長さが異なるため、機械による判別も可能である。
その上で「人間が使用することや、機械によるオペレーションコストなど、様々なことを踏まえて、物事を決定していく。これこそが経営システム工学なのだ」と説明してくださいました。もともと実際的なことに興味があった私にぴったりの学問だと直感しました。

Q 経営システム工学科では海外でのインターンシップ制度もあるそうですね。

はい。私も2回、参加することができました。最初のインターンは学部4年の頃、卒業前の春休みに行ったタイのコンケーンにあるパナソニックの工場です。会社から示された要望は、ある部品を組み立てるラインの人員削減で、作業員を11人から10人にしたいというもの。作業スケジュールの組み替え、工場のレイアウトの改善、作業の動作の無駄の削減などを検討し、最終的に9人にまで削減する案を作ることができました。
2度目のインターンは修士1年の夏休み。アメリカ・シカゴにあるNTNのベアリング工場で、作業時間の削減に取り組み、一部のオペレーション限定ですが、20.4%削減する案を作成しました。
吉本研究室でも、1ヶ月程度の期間で取り組むプロジェクトがありますが、この研究は実際に効果を上げられる点が面白いと思います。海外でビジネスの現場に行ってみたい人はぜひ行ってみてほしいですね。

コンケーン(タイ)のパナソニックの工場で

Q 須貝さんは体育会系のアメリカンフットボール部(米式蹴球部。愛称”BIG BEARS”)に所属、4年生の頃にはリーグ戦最優秀選手に選出されるほど活躍されました。忙しいと言われる理系学科でも体育会系の部活はできますか?

体育会の硬式野球部のピッチャーも同じ経営システム工学科の学生でしたから、私はできると思います。ただ、時間管理は必須です。アメフト部の練習は週に6〜7日。全体練習は16:00〜21:00で、ポジション別練習が23:00まででした。そんななか、私が特に意識してやっていたのは、一日のスケジュールを書き出して、無駄な時間がないかを確認することです。それから、授業を受ける時は「この時間ですべてをインプットしてやる」という心構えでいました。せっかく90分間も時間を使っているのだから、集中して受けて、試験前に詰め込まなくて済むようにしたかったからです。

アメフト部でも活躍

早稲田には本当にいろいろな人がいます。体育会系では日本代表に選出される人やプロに進む人がいました。経営システム工学科にも、起業する人、NPOに入ってカンボジアで活動する人など、個性的な人ばかり。その人たちの共通点は、自分のやりたいことに素直だということ。アメフト部にはラップの大会に出場していた学生がいましたが、とにかく興味が沸くこと、心が惹かれることには躊躇わず、素直にどんどんアクションを起こして欲しい。そのアクションは。きっと新しいアクションを引き起こすでしょう。その連鎖が充実した学生生活をもたらすのだと思います。