環境から資源・素材までの幅広い研究分野。
ディープラーニングを応用し、物理探査の研究に取り組む

環境資源工学科 学部4年
西野 玉城Nishino Tamaki
上田匠研究室
2022年度インタビュー

好きだった物理を中心に、
研究の選択肢を広げられる学科を選択

Q 環境資源工学科を志望した理由を教えてください。

高校時代から物理が好きだったので、物理を軸にしながら、より広く世の中の役に立つような学科を探していました。
環境資源工学科では、物理以外にも化学、生物や地学など、理系の幅広い分野を取り扱いながら、領域横断型の勉強をすることができます。物理専門の学科でよりも幅広く学べるところに魅力感じて志望したのです。

Q 現在の研究内容について教えてください。

所属している上田研究室では、数値計算や数理最適化の技術を応用して、物理探査、特に電気・電磁探査に関する研究を行っています。自ら記述したプログラムで数値実験を行い、研究での成果を、社会的課題の解決につなげているところが特徴的です。 そのなかで私は、電磁場を使って地下の構造を明らかにする電磁探査のデータ解析に関する研究を行ってきました。物理探査は重力や電磁場などの測定データを解析することによって、地下における物性の空間的な分布が明らかになります。これは、資源の貯蔵場所や断層などの位置把握、そして、地すべりのような災害が発生する原因の解明とその予測などにも使われている研究です。そのデータ解析に、ディープラーニングの技術を応用する研究をしています。
卒業論文では、ディープラーニングを応用して、地下の「複素比抵抗」の分布を明らかにする研究を行いました。電磁探査では、データ解析によって岩石の電気抵抗の性質を示す「比抵抗」の分布を推定することが一般的です。しかし、目的変数を「複素比抵抗」に関するパラメータに変更することで、岩石の導電性だけでなく、電気の容量性(たまりやすさ)の情報を得ることができます。電磁探査における複素比抵抗の推定は、その難しさから従来はなかなか行われてきませんでした。そこにディープラーニングの技術を応用することで、これまでより容易に推定できるという可能性を明らかにしました。

オーストラリア・ブックパーノンのマレー川流域における地下の導電率の分布を表す平面図。
ディープラーニングを応用して推定された

環境から資源までの幅広い学びで、
やりたいことを見つける

Q 学業以外で打ち込んでいることはありますか。

独学でプログラミングを学んだことが、とても印象に残っています。大学生になって、はじめて自分用のパソコンを買ったことがきっかけで、プログラミングの勉強をはじめました。プログラミングは、じっくりと考え込む時間が長く、じっくりと物思いに耽ることが好きな私にとっては、かなりハマれる趣味でした。また、書いたコードが正しく動作する瞬間には喜びを感じ、のめり込んでいきました。気づけば周囲の学生に教えられるほどになっていました。
大学のカリキュラムでは、「FORTRAN」というプログラミング言語を扱いますが、それ以外の「Python」や「C言語」といった言語は、独学で習得しました。なかでもPythonはディープラーニングで利用する機会が多く、研究の場面でもとても役立ちました。今後の進路としても、これまで学んだ技術を活かして、エンジニアとしてIT系の企業で仕事ができたらと思っています。

Q 環境資源工学科のどんなところを高校生におすすめしたいですか。

環境資源工学科は、学べる範囲が広く、横断的な領域を研究に応用できるという特長があります。もともと採鉱学科として、資源採掘に特化した学科として創設されましたが、時代の変化と共に次第に範囲を広げ、現在のような環境・資源・素材という領域を扱うようになったそうです。

環境や資源というテーマは、現代の地球温暖化やSDGsの観点などからも注目されている領域ですし、環境について考えることは、人間社会に貢献する上でとても重要です。どんな社会になっていくかという将来性を見据えながら、実用的な知識や経験を深められるところも、この学科の魅力です。
また、どんな学問分野を学びたいか、まだ迷っている方にも、ぜひ環境資源工学科をおすすめしたいです。環境から資源までの幅広い学びを通して、自分の興味が変わる「ターニングポイント」が訪れると思います。私自身も、入学当初は環境への関心がありましたが、学科での学びを通して資源分野でのディープラーニングの応用研究に興味を移し、今の研究に至りました。環境資源工学科は、自分の興味の伸びしろを見つけて自由に伸ばしていける、そんな学科だと思います。