理系と文系のはざまで、
よりよい社会システムをデザインする。
経営デザイン専攻 修士2年 | |
新井 響 | Arai Hibiki |
福重真一研究室 2024年度インタビュー |
Q. 修士論文のテーマはどのような内容ですか。
「汎用部品を用いた地域内循環生産システム」です。まず、複数の製品で共用できる「汎用部品」を、一定の地域内で相互にリユースすると仮定します。そうすることで、経済面・環境面でどのようなメリットが生まれるのか、「AnyLogic」というシミュレーションソフトを用いて研究しました。
具体的には、共同研究先であるSOLIZE社の介助用車いす・ベビーカー・シルバーカーの骨組み部分をお借りし、汎用部品として仮定しました。この汎用部品を鎌倉市内で共用した場合、地域内でどのように循環していくのか。その地域内循環生産システムが、どのようなメリットをもたらすのかを、地域住民の年齢分布や健康度まで反映させて、シミュレーションしました。
この研究テーマを選んだ理由は、「都市鉱山」という考え方に興味があったからです。都市鉱山とは、都市において使われていない金属…もう使っていない携帯電話やパソコンなどを鉱山に見立て、再利用する考え方です。そこからヒントを得て教授と相談し、「地域内でモノを循環させるシステムがあればいいのでは」と、今回のテーマにたどり着きました。
「学生ならではの自由さ」が生かされる研究室
Q. 福重研究室の特徴や、強みを教えてください。
福重研究室は、創造理工学部の中でも”ものづくり”に特化している研究室の一つだと思います。実際、たくさんの工場見学に行ったり、海外での学会発表や現地学生との交流ができたりします。所属を気にせず、さまざまな企業の工場を見学できるのは、学生ならではのメリットではないでしょうか。
また、私は教授が主催する「CIRMANプロジェクト」に参加しました。開催地のノルウェーで、ライフサイクルエンジニアリングについて現地学生と議論しました。さまざまな新しい循環型ビジネスについて、「こうしたらもっとよくなるのでは」と英語でディスカッションしたことは、良い経験になりました。
他にも、同じ研究室の友人はイギリスの学会発表に出たり、日本で行われた国際学会の発表に出たりしています。インドにも福重研究室と似た研究室があり、そことの交流もあります。これも、教授の人脈やお人柄あってこそです。学部主任でお忙しい中、各研究をしっかり導いてくれます。一方で、基本的には自由に研究させてくれるので、とても学生思いの方です。振り返ると、改めていい研究室だったと感じます。
やりたいことを変えられるのが、早稲田のよさ
Q. 今後の展望について教えてください。
4月から就職するので、その先でいろいろなことを学び、幅広いことができる「ジェネラリスト」になりたいです。私自身、「一つのことで突き抜ける」より、「いろんなことで80点を出す」のが得意なタイプだと感じるからです。
Q. 最後に、受験生へのメッセージをお願いします。
まず早稲田のいいところは、学生の人数が多くいろいろな人に出会えるところです。芯をしっかり持ち自身をより高めようとする、志の高い友人たちと出会えました。彼らからとてもいい刺激を受けたことで、私も成長できたと感じています。
また、他大学と比べてサークルの数も多いので、入学後も幅広い選択肢から、自分のやりたいことを選べます。その後も臨機応変にやりたいことを変えられるのが、早稲田のいいところではないでしょうか。
経営システム工学科は、理系と文系のはざまにいる方や、やりたいことがまだ決まっていない人にもおすすめです。「物理や化学が苦手な一方、暗記科目が得意なわけでもない…」という方や、「物事をより良くするには」と考えるのが好きな方に向いていると思います。私がこの学科を選んだ理由は、幅広くいろいろなことが学べそうだったからです。実際、幅広く学問を学べますし、やりたいことが見つかればそれを突き詰めることもできます。
私の場合、学士の卒業論文では、ExcelのVBAを用いた研究を行っていました。その結果、実用化一歩手前まで突き詰められたと感じたので、修論ではテーマを変えています。学士、修士どちらも人々の生活に根付いた研究ができたので、社会をより良くしたいと考える人にもおすすめです。