地震から人を、地域を守るため
強固なインフラづくりに貢献したい

社会環境工学科 学部4年
須田 郁慧Suda Ikue
秋山充良研究室
2016年度インタビュー

Q 研究内容を教えてください。

秋山研究室ではコンクリート分野に特化した土木構造物の耐震補強について研究しています。そのなかで私が取り組んでいるのは、橋梁の耐震補強です。地震エネルギーを吸収する制震装置のひとつに「ダンパー」という装置があるのですが、このダンパーを既設の橋梁に新しい形式で設置する耐震補強工法の提案を目指しています。
ダンパーを開発した企業との共同研究も行っており、そのダンパーを橋梁システムの中に組み込むことで、どれだけの地震に耐えられるかを調べ、実現性についても検討していくことが現在の研究内容です。

Q 具体的にはどのようなことをやっているのでしょうか。

ダンパーそのものの性能を調べる実験や、何分の1というスケールに縮小した橋脚のモデルによる実験などは研究室の先輩方がこれまでに積み重ねてきているため、今は実験の結果を用いながらコンピュータ上でシミュレーションすることが多いですね。プログラム上で橋梁システム全体系のモデルを組み、使用される材料の性質や地震波の情報などさまざまな数値を入力し、プログラムを回すことで地震によってどの程度橋梁が破壊するかなどがわかります。この破壊程度から得られる橋梁が復旧するために必要な日数と耐震補強にかかる費用を比較検討することで、最適な耐震補強量を適宜選択していくフローを提案しています。
今までの経験値により、ある程度、想定している結果があるのですが、大変なのは想定と異なる結果が出る場合です。その場合、片っ端から原因を探していく必要があります。橋梁を全体系として扱っているので、情報量も非常に多いですしミスが見つかりにくいため、根気よく調べていかなくてはなりません。調べた結果、プログラムの構築などにミスが発覚し、やはり想定の方が正しいとわかるケースもあります。しかし、想定そのものが間違っている場合、その原因を考察し理解を深めなければなりません。自分だけではわからないこともたくさんあるのですが、どうしようもない時には先輩方も秋山先生もアドバイスをくれます。

Q 今後の研究や進路の予定は?

今のところ、修士過程に進学してから就職する予定です。研究というのはある程度進むと一般性や実現性を高めていかなければなりません。ですから、今後はより広く、その他の耐震補強工法や、各地域によって必要な耐震補強量の違いなどを調べたいです。たとえば、ダンパーよりも一般的な橋梁の耐震補強工法に、コンクリートの橋脚に鋼板を巻く方法がありますが、このような工法を含めて、いくつかの工法を研究し、確率的に適した工法を示す指標を作ることができたらいいですね。「この地域にあり、このような形状の橋で、経年劣化がこの程度だと、この工法が適している」という指標を示せれば、より効率的な工法を選択することができます。

たとえサークルに入らなくても大丈夫。
絶対にすごく楽しい学生生活を送れます!

Q 就職についてはどうお考えですか。

その先は、まだ未定です。土木分野の仕事は、大きく分けて3つあります。1つ目は工事を発注する仕事。国や地方自治体なども発注側ですから、公務員試験の受験が必要な場合があります。採用を目指すかどうかは別にして、価値のある資格ですので受験する人も多いです。2つ目は建造物を設計する仕事で建設コンサルタントなどがやっています。3つ目は施工業者で、ゼネコンなどです。今の研究に最も近いのは設計ですが、今ではこの3つの枠組みも明確に分かれているわけではないので、インターンなどで実際にいろんな職業見て、自分に合った職種がどのようなものかというのを慎重に検討していきたいです。
もともと社会環境工学科を志望したきっかけは、高校1年生の3月に起きた東日本大震災でした。それまでは漠然と建物に興味があったのですが、震災で道路や橋などの大きな土木構造物の重要性に気づき、建築ではなく土木分野を進路に選びました。そのため、人や町を地震から守るような仕事に興味があります。
また、土木の仕事は、地図に掲載されるような大きなプロジェクトが多くあります。自分の携わったことが文字通り目に見える――そんな仕事は、他にあまりないのではないでしょうか。私も自分のやったことを誇らしく思えるようなプロジェクトに関わってみたいですね。

Q 早稲田に入学する前に、不安はありませんでしたか?

指定校推薦で入学したので、学力的についていけるのか不安でした。でも、きちんと授業に出て、先生の話を聞いていれば大丈夫です。特に2年生になって、専門分野を学び始めると、全員知らないことなので一旦横一線になります。試験の時期は、皆で助け合いながら勉強するので、真面目に取り組めば問題ありません。
それと、中高と女子校育ちだったので、突然男子ばかりのところに入る不安もありました。でも、少ないとは言え、女子は2〜3割はいますし、人数が少ない分、団結できたので、心配ありませんでした。男子も皆本当に優しいので大丈夫です。ただ、入学したばかりの頃、男子が全員同じ顔に見えて困惑しましたけど。「あれ? あの人、さっきもいたよなあ」ということが何度もあって……(笑)。でも見慣れるうちに、だんだん区別がつくようになるので、心配ご無用です。

Q 最後に早稲田の魅力をお願いします。

早稲田にはいろいろな良いところがあると思います。多様な人材が揃っているところ。社会でも、たくさんのOBがあらゆる分野で活躍しているところ。都心にあって便利なキャンパス。数え切れないほどあるサークル。もちろん、研究も最先端です。
私の場合、興味のあるものに出会えなかったのでサークルには入らなかったのですが、それでもとっても楽しいです。学科の友達とは表面上の付き合いではなく、社会に出てからも続くようないい関係を築けていると思います。
ですから、絶対にすごく楽しい学生生活を送れます! ぜひ頑張って入学してくださいね。